遺言が必要な場合①

再婚されて前婚、後婚共にお子様がいる場合

前婚のときのお子様

ご主人と前妻様との間にお一人お子様がいらっしゃり、離婚後ご主人はお子様とは一度も会ったことがないようなケースがあります。後添いの奥様との間にもお一人お子様がいらっしゃり、普段は今の奥様とお子様だけが自分の家族のように思いがちかもしれません。しかし、法律の世界では前婚でのお子様ももちろんご主人の相続人になります。

後婚後にご主人がマイホームを買い直されるような場合は、遺言を書いておかれることを強くお勧めします。遺言がないとご主人が亡くなられた後の遺産分割協議において、前婚のときのお子様にも参加してもらわないと相続手続ができません。

このような場合、前婚のときのお子様がご主人に対してどのようなお気持ちを持たれているかはケースによって色々でしょう。遺言がなければ、遺産分割協議で不動産を後婚の奥様が取得して法定相続分にあたる4分の1の金銭を前婚のお子様に渡すなどの提案をして受け入れてもらえるかどうか様子を見るような対応になるでしょうか。

※この場合、法定相続分は後婚の奥様2分の1、前婚のお子様4分の1、後婚のお子様4分の1となります。

 

遺言書を書く場合

では、ご主人が遺言書で後婚の奥様にすべての財産を相続させるとした場合どうでしょうか。前婚のお子様には遺留分があり、法定相続分の半分である8分の1の金額を、遺産をたくさんもらった人に対して請求することができます。これを遺留分侵害額請求権と言い、ご主人が亡くなったこと、遺留分が侵害されていることを知ってから1年の間であれば請求することができるのです。

遺言どおりに手続を進める役割を持つ遺言執行者は故人の財産目録を相続人に通知しないといけません。また、自筆証書遺言では遺言を家庭裁判所で開封する手続(検認)、自筆証書遺言を法務局で保管する制度では法務局から相続人への通知により、相続人は遺言があったことを知ることになります。その結果、前婚のお子様も遺留分が侵害された遺言がなされていることを知ることが出来るのです。

以上より私どもとしましては、前婚のお子様に最低限遺留分にあたる財産を相続させる内容の遺言を書かれることをお勧めしています。万一前婚のお子様の所在が分からない場合でも、相続手続に必要と認められる範囲では戸籍や住民票を取得することができます。

 

専門家である司法書士法人しもいち事務所にご相談を

このように、遺言を書くとしても遺言の効力発生後どのようなことが起こるのかよく知っている専門家のアドバイスを受けることが非常に重要です。さらにもらう人が先に亡くなった場合の予備的遺言、相続税、養子縁組、生命保険等のこともひと通り知っておいた方がよいでしょう。安心して遺言を書くためにはぜひ当事務所にご相談ください。